80's New Wave Laboratory

80年代のニューウェイヴ音源を中心に、近況やYouTube映像などを交えてレビューを書いています

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The Jazz Defektors/The Jazz Defektors

ザ・ジャズ・ディフェクターズザ・ジャズ・ディフェクターズ
ジャズ・ディフェクターズ

ディスク・ユニオン 2006-05-26
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今日紹介するのは1987年発表のジャズ・ディフェクターズ [ The Jazz Defektors ] 唯一のフル・アルバム『The Jazz Defektors』です。

彼らはたった1枚のアルバムしか残しておらず、また、音源の権利の問題でしばらく再発売されることもなかったため、本作はしばらく知る人ぞ知るレアなコレクターズ・アイテムと化していたのですが、ようやく一昨年、別バージョンが一曲追加され、新たにリマスタリングが施されたリイシュー盤が発売されました。

個人的には、レアな初回盤を持っていることがちょっとした自慢だっただけに複雑な心境ですが、おかげで本作を紹介する機会を得たわけですから良しとしましょう(笑)。

本作は、ジャズ系のニューウェイヴというより、サンバ、マンボ、スウィングなどの要素を巧みに取り込んだ「踊れるニュー・ジャズ」と言った方がしっくりくるのかも知れません。
「踊れる」ということに焦点を絞っているものの、当時チャートをにぎわしていたポップスのようなディスコライクなリズムではありませんし、シンセサイザーやシモンズなどの電子楽器も生楽器の代用品程度にしか使っていませんからね。

しかし、これが実にかっこいいんです。
いや、シブいと言った方がいいのでしょうか。

とにかく通ウケのするサウンドで、今聴いても全く古くささがありません。

黒人が歌っているのにも関わらずアメリカっぽい黒さを感じませんし、ベースがジャズだというのにテクニック志向のいやらしさも感じません。

言ってみれば、ジャズとポップスを絶妙なバランスで配合し、(一周まわって新しい)踊れるアレンジを施した大人向けのシブいサウンドなんですよね。

本作のミキシングを担当しているのは、なんとスタイル・カウンシル [ The Style Council ] のポール・ウェラー [ Paul Weller ] とミック・タルボット [ Mick Talbot ] 。
噂によれば、2人はかなり深い所まで関与したそうなので、実質スタイル・カウンシルのプロデュース作品と言っても過言ではないんだとか。
いや~、さすがです。

須永辰緒氏が「アシッド・ジャズ前夜に突如現れたモンスター・アルバム」と大絶賛したのもうなずけます。


さて、ここで彼らのプロフィールを紹介するとしましょう。

時は1970年代の半ば、マンチェスターのクラブ「ラフターズ」では毎週15分間だけジャズのレコードを回すトーナメントの時間があったそうです。
もちろん、この当時にアシッド・ジャズなどのクラブ系ジャズはまだ存在しませんから、リー・モーガンやアート・ブレイキーあたりのいわゆる本物のジャズ(笑)で20歳にもならない若者が踊っていたわけですね。

この15分間のジャズ・トーナメントは噂を呼び、いつしか90分に拡大。
このことがきっかけで、若いDJたちは、50年代、60年代にまでさかのぼってジャズを研究するようになり、同時にダンサーたちもお気に入りの曲に合わせた思い思いのスタイルでステップが踏めるようになったそうです。

後にジャズ・ディフェクターズを結成する”スワプス”ことマーク・スワビー [ Mark Paul Swaby ] 、”PC”ことポール・カミングス [ Paul Cummings ] 、”ソルツ”ことアンドリュー・アンダーソン [ Andrew Anderson ] 、”ウィルキンス”ことバリントン・ウィルクス [ Barrington Wilks ] の4人は、そんな中で多感な時期を過ごし、DJたちと共にジャズのリズムを、そしてジャズのステップを学んでいます。

しかし、80年代に入ると新しいディスコ・サウンドが全盛となり、ジャズ好きな若者たちは「フィーヴァーズ」というクラブに場所を移して、火曜日の夜に集まるようになったんだとか。

そこへ現れたのが白人ファンク・グループ、ア・サーティン・レシオ [ A Certain Ratio ] の面々。
彼らは、「フィーヴァーズ」でたまたま目にしたジャズ・ディフェクターズのダンスを気に入り、ロンドンのゲイ・クラブ「ヘヴン」でのライヴに出演の際、一緒に出演してくれないかと誘ったのです。

このライヴの出演がきっかけで、その後、スペシャルズ [ The Specials ] の「What I Like Most About You Is Your Girlfriend」などのプロモーション・ビデオの仕事が彼らの元に舞い込むようになり、徐々に知名度を上げていきます。

The Specials「What I Like Most About You Is Your Girlfriend」のPV

しかし、ここまでのジャズ・ディフェクターズはあくまでもダンス・グループ。

彼らはこの後、サーティン・レシオから分家したカリーマ [ Kalima ] のライヴでダンサーとしてだけでなく、バック・コーラスをも努めることになったのです。

さらに、たまたまこのライヴを観に来ていたのが、セックス・ピストルズ [ Sex Pistols ] の映画『ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル』で知られる監督ジュリアン・テンプル [ Julien Temple ] 。
このステージを観てジャズ・ディフェクターズを気に入ったジュリアンは、当時製作に取りかかっていたコリン・マッキネスの50年代の小説『Absolute Beginners(邦題:ビギナーズ)』の映画化に際して彼らの起用を決定。

ちなみに『ビギナーズ』はデヴィッド・ボウイ [ David Bowie ] シャーデー [ Sade ] 、キンクス [ Kinks ] のレイ・デイヴィス [ Ray Davies ] 、エイス・ワンダー [ Eighth Wonder ] のパッツィ・ケンジット [ Patsy Kensit ] などが出演した当時としては珍しいミュージカル映画で、それまでじわじわと盛り上がりかけていたジャズ・ブームを一気にメジャーなものへ持ち上げた立役者的存在です。

『ビギナーズ』のサントラはこちら→『Absolute Beginners
(注:サントラにジャズ・ディフェクターズの曲は収録されていません)

映画の中でジャズ・ディフェクターズは、脇役のダンサー役での出演だったのですが、少ない登場シーンでその実力と存在感を見せつけ、86年に『ビギナーズ』のプロモーションのために来日、そのついでに渋谷のクラブでダンス・ショーに出演し、流行に敏感な若者たちに大好評を得ています。

その後、ダンス・グループとしての活動に限界を感じ始め、バンドを組むというアイデアを温めていた時に舞い込んだ仕事が、シャーデーのツアーのサポート(いわゆる前座、もしくはオープニング・アクトですね)。

早速、4人は楽器の演奏が出来る友人たちを集め、オリジナルを4曲作成、10人編成のバンドとしてステージに立ったのです。

実はこのステージ、ツアーに同行したわけではなく、ツアー初日のマンチェスター公演のみの出演だったらしいのですが、それでも彼らにとっては大きな一歩だったことでしょう。

翌年には「JD'S Club Circuit in Japan '87」と題したツアーで本作を引っさげて再び来日を果たし、札幌、大阪、名古屋、東京の四都市で堂々たるステージ・パフォーマンスを見せてくれました。

↓ 1987/10/20 INK STICK芝浦FACTORY LIVEの映像
「Life(Part2)/Invisible You」のライヴ映像
「Ooh! This Feeling」のライヴ映像
「Another Star」のライヴ映像

余談ですが、私の実姉は、この時の大阪公演を観に行っておりまして、セピア・トーンでまとめられた、まるでどこかのファッションブランドのカタログのようなツアーパンフレットが、なぜか今、私の手元にあります(笑)。
外タレとしては比較的小さなハコをまわるツアーのはずなんですが、意外にしっかりしたパンフレットが制作されていたことに今更ながら驚いてしまいます。
ま、これもバブルの産物なのかも知れませんね(笑)。


しかし、この後、彼らは方向性の違いから2つに分裂し、共に活動場所を失ってしまいます。

残念ながら、これ以降の彼らの足取りはつかめていませんが、唯一、ドラムのマイク・ローレンス [ Mike Lawrence ] に関しては下記のスウィング・アウト・シスター [ Swing Out Sister ] のビデオ・クリップで発見することが出来ました。

Swing Out Sister「La La (Means I Love You)」のPV

もう少し10人編成で頑張っていれば間違いなく大スターになっていたはずでしょうにもったいない話です。

とはいえ、本作のような名盤が今になってリイシューされたのは嬉しいことです。

彼等のファンだった方はもちろんのこと、スタイル・カウンシルシャーデートーマス・ラング、そして、リー・モーガンやアート・ブレイキーあたりがお好きな方には超おすすめです。

いや~、とにかくカッコいいです。
興味を持たれた方はぜひ手に入れて下さい。
後悔はさせませんよ。


David Bowie/Club Bowie : Rare & Unreleased 12" Mixes

Club Bowie: Rare & Unreleased 12Club Bowie: Rare & Unreleased 12" Mixes
David Bowie

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今日紹介するのは、2003年に発売された、デヴィッド・ボウイの12inch Mixのレア音源と未発表音源を集めた『Club Bowie』というアルバムで、オマケとしてPCで再生可能な映像も1曲収録されています。

なかなか面白いミックスが収録されているので、80's系のDJをやっておられる方や、80年~90年代のボウイが好きな方にオススメしたいと思います。


早速ですが、収録曲の紹介をしますと、
1.「Loving The Alien」/The Scumfrog VS David Bowie
 『Tonight』に収録されていた「Loving The Alien」のミックスです。
昔の12inchのB面に収録していそうなバージョンですが、それでも単なるロングバージョンではなく、ちゃんと原曲のドラマティックさが出ていて、ダンスものとしても、楽曲としても楽しめることでしょう。

2.「Let's Dance(Trafictor VS Deeper Substance Remix)」/David Bowie
 当時の12inchもののパターンであった、パーカッションが少々クドめのリズムに延々とディレイのかかったシンセが乗っかり、一番のボーカルフレーズが繰り返されます。
歌に関しては、サビまで収録されていればホームリスニングでももう少し聴いていられるものになったのかも知れません。
まあ、クラブ・ユースのミックスなんでしょう。

3.「Just Foe One Day(Heroes)(Extended Version)」/David Guetta VS Bowie
 『Heroes』のタイトル曲のミックスですが、これは家で長く聴くのは辛いミックスかも知れません。
全体にワウのかかった原曲のイントロ部分が繰り返されるところは軽いトランス系で、お酒を飲んで聴くと悪酔いしそうです。
その後は原曲の一部分が延々としつこいくらいに繰り返されるので、クラブで爆音で聴くとトリップしてしまいそうですね。
自宅では聴きたくありませんが、アクセント的に使えるミックスだと思います。

4.「This is not America」/The Scumfrog VS David Bowie
 このアレンジは楽曲としては比較的聴きやすい部類に入ると思います。
しかし、ボウイの歌声は「This is not」しか使われておらず、やはりワンフレーズがクドいほど繰り返されますので、こちらもクラブ・ユースのミックスといったところでしょうか。
単調ではありますが、使い方によってはトリッキーなDJプレイも可能だと思います。

5.「Shout(Original Mix)」/Solaris VS David Bowie
 これは『Scary Monsters』に収録の「Fashion」のミックスで、ダンスものとしてはなかなかイカしたアレンジです。
メリハリもありますし、展開もちゃんとありますので自宅でも聴きやすいと思います。

6.「China Girl(Riff & Vox Club Mix)」/David Bowie
 この曲は、このアルバムの中で2番目にオススメの曲です。
例えて言うなら、あの「China Girl」を、ディープ・フォレストが女子十二楽坊を招いてアレンジしたようなバージョンで、単純に気持ちが良く、自宅で聴く楽曲としても充分楽しめ、ダンスものとしても聴くことができます。
胡弓なのでしょうか、非常に優雅なソロパートもあって、ひょっとすると原曲よりチャイナガールという雰囲気が出ているかも知れません。

 ♪「China Girl(Riff & Vox Club Mix)」の映像(静止画像)

7.「Magic Dance(Danny S Magic Party Remix)」/David Bowie
 ボウイ自ら魔王ジャレスとして出演した、映画『Labyrinth(ラビリンス)』のサウンドトラックに収録された「Magic Dance」のリミックスです。
これは楽しい感じが表現できていて、まさしくパーティー・ミックスと言った感じです。
途中で音が途切れるようなアレンジになっていますが、そのおかげでメリハリが利いているのではないでしょうか。
欲を言えば、ボウイ自らが出していた赤ちゃんの声もどこかに入れて欲しかったところです。

8.「Let's Dance (Club Bolly Extended Mix)」/David Bowie
 本作で一番のオススメ曲です。
このミックスをわかりやすく説明するなら、あの「Let's Dance」をディープ・フォレストがインドの歌姫ナジマをゲストに招いてインドのクラブ系ワールド・ミュージックに仕立てたという感じです。
この曲は本作の中でも抜群のクオリティーで、通常の「Let's Dance」がお嫌いな方でもまったく別の楽曲として楽しむことができると思います。
ドラマチックな展開もあるので何度聴いても飽きませんよ。
80’s系DJさんのマスト・アイテム(笑)ですね。

9.「Let's Dance (Club Bolly mix) (Video)」
 PCで再生できる、8曲目のショート・バージョンの映像です。
なお、8曲目は8分ほどあるのですが、この映像は4分弱と短くなっています。

 ♪「Let's Dance (Club Bolly Remix)」の映像


本作は、よくある12inch MixをまとめたコレクターズCDとは少々趣の違うアルバムですが、正直言って、6.「China Girl(Riff & Vox Club Mix)」と、8.「Let's Dance (Club Bolly Extended Mix)」と、ボーナス映像だけでも充分に値打ちがあると思います。

恐らく、初期のボウイのファンの方にはウケが悪いでしょうが、中期以降のボウイの熱狂的なファンの方や、80's系のDJをされている方、80年代の12インチ・シングルのコレクターの方などにはオススメしたい、ボウイのアルバムとしてはかなり異端なアルバムです。

興味を持たれた方は、とりあえず上で紹介したYouTube映像をご覧になってみて下さい。
好き嫌いはハッキリ分かれると思いますが、好きな方にはたまらない魅力のアルバムですよ。


Talking HeadsStop/Making Sense(DVD)

Talking Heads - Stop Making SenseTalking Heads - Stop Making Sense
Talking Heads

Palm Pictures 1999-10-26
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今日紹介する作品は1984年に劇場公開されたトーキング・ヘッズ [ Talking Heads ] のライヴ映画『Stop Making Sense(邦題:ストップ・メイキング・センス)』 。

本作は、1983年12月にハリウッドのパンテージ・シアターで行なわれたステージの模様を、6台の固定カメラと1台のハンドカメラを駆使してまとめあげられたシンプルなライヴ映画です。

もちろん、いろいろな角度からステージを録ってはいますが、インタビュー映像や、バック・ステージの模様など、ライヴ以外の映像をインサートしたりすることもなく、ただただ忠実にこの日のライヴをまとめているだけの映像です。

恐らく、制作費も比較的安く抑えられていることでしょう。

しかし、この映画、とにかく発想と演出がすごいんです。

私は、当時、大阪心斎橋のパルコ劇場(現クワトロ?)でこの映画を観たのですが、まるで、近所の公民館で上映されているかのような設備だというのに、映画が始まって数曲目には、生でライヴを観ているかのような錯覚に陥ってしまい、途中で思わず拍手をしてしまいました(笑)。

しかし、面白いことに、スクリーンに向かって拍手をしてしまったのは私だけではなく、観客席のあちらこちらから同時多発的に拍手がわき起ったのです。

ひょっとすると、勘違いな私の拍手に他の観客がつられただけなのかも知れませんが、普通の映画なら人につられて拍手をすることはないでしょうから、それほど臨場感を感じさせる映像だったというわけですね。

とはいえ、公民館レベルの簡素なスクリーンに、小規模なイベントに使われるようなスピーカー×2という設備の会場でしたので、映像や音の迫力が臨場感を高めたわけではなさそうです。

言い方を変えれば、カメラが1人の観客として客観的にステージ・パフォーマンスを捉えることに成功したということでしょうか。

ちなみに、この映画の監督は、後に『羊たちの沈黙』で世界的な評価を得たジョナサン・デミ [ Jonathan Demme ] 。
彼は本作で全米映画批評家協会ドキュメンタリー映画賞を受賞、また、この手の映画としては珍しくニューズ・ウイーク誌を筆頭にアメリカの各紙(誌)が選んだ'84ベスト・シネマの一本に選出され、その後の躍進への足がかりを掴んでいます。



さて、ここからは内容を紹介させていただくのですが、どうしてもネタバレになってしまいますので、最初は白紙の状態で観てみたいという方は本編をご覧になってからお読みください。

ライヴ映画ゆえ、ストーリーやオチがあるわけではないのですが、アイデア満載の演出と仕掛けがこの映画の一つの見せ場ですので、予備知識なしの方が楽しめるかも知れませんからね。


まず、映画が始まると、無音状態でデヴィッド・バーン [ David Byrne ] の影が映し出され、アコースティック・ギターとラジカセを持って現れマイクの前へ、そして、おもむろにラジカセのスイッチを押し、そこから流れるチープなリズム・ボックスの音に合わせてアコギ一本で「Psycho Killer(サイコ・キラー)」を演奏し始めます。

しかし、バーンの立っている舞台は、まるで何のスケジュールもない日にステージ後ろのカーテンをひき忘れたかのような無愛想なもので、本来、隠すべき足場やバケツなどが丸見えです。

また、ガランとしたむき出しの舞台はあまりに広く、満員の観客席と何の飾り気もないステージにギャップを感じてしまいます。

曲の途中で、バーンお得意の奇妙な動きのダンスが挿入されるなど、みどころがないわけではないのですが、もし、私がこのライヴを観に行っていたとしたら、この時点ではあまりの安っぽいライヴに落胆したことでしょう(笑)。

表情まで確認できるわけではありませんが、実際、チラッと映った観客のノリもこの時点では決して良くはありません。

しかし、アートスクール出身の知性派集団のことですから、これだけで終わるわけがありません。

「Psycho Killer」の映像

1曲目が終わる手前で、日本の歌舞伎で舞台装置を操る黒子(くろこ)のような役割のスタッフ(顔こそ隠していませんが、全員黒服です)によってベース・アンプが運び込まれ、曲終わりでベースを持ったティナ・ウェイマス [ Tina Weymouth ] が登場。

2曲目はバーンとティナの2人によって、まるで地味なフォーク・グループのリサイタルように「Heaven」が演奏され、またしても、曲の終わる手前で黒子によってドラム・セットが運び込まれます。

「Heaven」の映像

当然のごとく、3曲目はドラムのクリス・フランツ [ Chris Frantz ] の加わったトリオ編成で「Thank You for Sending me an Angel」が演奏されます。

さすがにドラムが入るとロックっぽくなるもので、この辺りからはバーンのノリも違ってきます(笑)。

「Thank You for Sending me an Angel」の映像

そして、4曲目にはサイド・ギターのジェリー・ハリソン [ Jerry Harrison ] が加わり、オリジナルメンバーの4人で「Found A Job」を演奏。

「Found A Job」の映像

お察しの通り、演奏している後ろでは黒子さんたちがセットを組み立てており、5曲目からは女性コーラス2名とパーカッションの男性が追加。

同時に後ろの足場やバケツを隠すかのように黒いカーテンがひかれ、ジェリーの弾くキーボード・セットも組み込まれます。

この時点でようやくメジャーなバンドのライヴらしい舞台になり、全員で「Slippery People」を演奏。

「Slippery People」の映像

続いてパーカッション・セット、ティナの弾くシンセ・ベースが運び込まれ、サイド・ギターとキーボードの黒人さんが登場、合計9人のパフォーマーによって「Burning Down the House」「Life During Wartime」がノリノリで演奏されます。

個人的には、ここでエイドリアン・ブリュー [ Adrian Belew ] の登場とお願いしたかったところですが、演奏自体に不服はありません(笑)。

「Burning Down the House」の映像
「Life During Wartime」の映像

確か、私が思わず拍手してしまったのは、「Burning Down the House」が終わったタイミングだったと思うのですが、気がつけばここまでは演奏を観ながら同時にセットを組み上げる様子も楽しんでいたんですよね。

もし、組み上がったステージ・セットをバックにメンバーが1人ずつ増えていったのだとしたら、思わず拍手をしてしまうほど気持ちが高揚することはなかったはずですからね。

いや~、見事に引き込まれてしまう演出です。

当然、リハーサルは本番と同じようにステージを組み上げながら行われていると思うのですが、それを考えると黒子さんたちの苦労がわかります。


この後は最後までパフォーマーが増えることはないのですが、8曲目からはステージの後ろにスクリーンが降りてきて、1曲ごとに試行を凝らした演出で演奏を盛り上げてくれました。

時には文字を映し出し、時には舞台を赤く染めてメンバーのシルエットを浮かび上がらせ、時にはステージを本棚の前やマンハッタンに移動させてくれるのです。

「Flippy Floppy」の映像
「Swamp」の映像
「Naive Melody」の映像
「Once in a Lifetime」の映像
「Girlfriend Is Better」の映像
「Take Me To The River」の映像
「Cross-Eyed And Painless」の映像

この1曲ごとの演出は観る者を最後まで飽きさせることなく、友人につき合って観に来ただけの観客ですらステージに釘付けになったことでしょう。

ズバリ、この映画を見ずしてライヴの醍醐味は語れない、というほど優れもののライヴ映画ですので、未試聴の音楽好きの方は一度ご覧になってみてください。



ところで、実は私、今でも「ライヴ映像というものは、そのアーチストのファンでなければ100%楽しむことはできない」と考えています。

ライヴというものは、基本的には、レコードやCDなどで既に発表されている曲を中心に演奏されるわけですから、忠実に再現されるにせよ、全く別のアレンジが施されるにせよ、聴き込んでいる方が楽しめるのは当然ですよね。

もちろん、その場のノリ、空気感、演出などの要素はライヴの醍醐味だと思うのですが、各メンバーのキャラクターを知っているからこそ楽しめるという要素も多分に含まれているわけで、やはり、いろんな角度で観ることが出来る分、ファンであればあるほど面白いものだと思うのです。

しかし、本作『Talking Heads - Stop Making Sense』は特別です。

ファンの方が観た方が面白いことは間違いありませんが、恐らく、トーキング・ヘッズの楽曲をあまり知らない方でも、最後まで退屈することなくご覧いただけるはずです。

もし、バンドでライヴを行っておられる方や劇団のパフォーマーの方がご覧になったとしたら、ジャンルこそ違えど、何らかのステージ・パフォーマンスのヒントを見つけることができることでしょう。

また、自らステージに立たない方でも、こういった分野に興味を持っておられる方なら同様に楽しんでいただけるはずです。

そういう意味では「フィルム・コンサート」的なものではなく「ライヴ映画」なんですよね。

言い換えれば、よくある「特定のアーチストのライヴDVD」ではなく、「映画のDVD」に近いライヴ映像なのかも知れません。

いや~、今観てもすばらしいライヴ映画です。


なお、上で紹介したDVDはデジタル・リマスタリングが施されており、音質、画質とも大幅に向上、おまけに映像がワイドスクリーン・バージョンに変更されているので、トリミングが施されたビデオ版の方では観ることの出来なかった部分までも自宅で再現できますよ。
(本作は輸入盤ですが、リージョン・フリーですので、一般的な日本製のDVDプレーヤーやプレステ2などでも観ることができます。)

また、ジョナサン・デミとデヴィッド・バーンの音声解説が追加されている日本盤の『ストップ・メイキング・センス(ニュージャケットバージョン)』も存在しますが、ジャケットが変更されているのと、 11月18日現在、中古盤のみの在庫で、プレミアがついて少々高くなっています。

あと、同じライヴを収録した同タイトルのCD『Stop Making Sense: Special New Edition (1984 Film)』もあるのですが、どうせならこのすばらしい演出を満喫できるDVDを手に入れてご覧いただくことをオススメします。
(注:当時のLPレコードは曲順が違う上、たった9曲しか収録されておりませんでしたが、現行のCDは曲順は同じで16曲収録、サウンドトラック盤扱いになっているようです。)


Retrofest 2008/レトロフェス2008

Retrofest 2008

今年4月に書いたリマール [ Limahl ] の記事でお知らせした通り、この8月30日、31日にスコットランドのストラスクライド・カントリー・パーク [ Strathclyde Country Park ] で当ブログとしては感涙ものの80年代に大活躍したアーチストが一堂に会するイベント『レトロフェス2008 [ Retrofest 2008 ] 』が開催されました。

それから一ヶ月と少し経って、YouTubeにもこのイベントの映像が続々とアップされておりますので、今日はいつものアルバム紹介をお休みして『レトロフェス2008』の映像をお届けしたいと思います。

ただ、ホーム・ビデオで撮られた映像がほとんどですので、画質、音質、共に良くはなく、顔すらまともに判別できない状態のものが少なくありません。

また、このテのYouTube映像は削除されてしまうケースが多く、時間が経ってからは閲覧することができない可能性もあります。

これでは近況を知るために当ブログを訪れて下さった方に申し訳ありませんので、このイベントとは関係のない映像ですが、各アーチストの最近の映像も合わせて紹介させていただくことにします。


まず、今回の『レトロフェス』の目玉はカジャグーグー [ Kajagoogoo ] でしょう(個人的な目玉ですが…笑)。

名義上はわかりやすく「Kajagoogoo & Limahl」となっていますが、20年以上も不仲が報じられていたニック・ベッグス [ Nick Beggs ] とリマールが仲直りをし、ついにオリジナル・メンバーでの再結成ライヴが実現したんですよ。

今回のライヴは、ボーカルパートをニックとリマールのデュエット・スタイルで聴くことが出来たので、リマール脱退後の曲も違和感なく楽しめました。

ちなみに、前回、再結成されたのは、2004年に行われたアメリカのケーブルTVのイベントでのこと。
しかし、この時点でニックとリマールは仲直りは出来ておらず、一夜限りという条件だったんですが、今回の再結成は『レトロフェス』の主催者であるブラッドレイ氏 [ Bradley Snelling ] がオリジナルメンバーでライヴに出演する様に何度も働きかけた結果なんだそうで、現在、彼はカジャグーグーのマネージャー役を務めているのだとか。

現在、オリジナルメンバーで新譜が制作されているそうなので、うまくいけば来日公演も実現するかも知れませんね。

しかし、ニックはこのスカートがよほど気に入っているんでしょうか。
昨年、リマール抜きで「レトロフェス2007」に出演した時も、例のトレヴァー・ホーン [ Torevor Horn ] のイベントでABCのベースを担当した時もこれと同じ衣装でした(笑)。

☆Kajagoogoo
「Big Apple & Neverending Story & Too Shy」
「The Lion's Mouth」
「White Feathers」
「バックステージでのインタビュー映像」

今年のSOPOT FESTIWALに出演した再結成カジャグーグーの映像
昨年のレトロフェスでのリマール抜きの「Too Shy」の映像


さて、体型も名義も気になってしまうのはボーイ・ジョージ [ Boy George ] 。

数々の逮捕劇でカルチャー・クラブ [ Culture Club ] のメンバーから愛想を尽かされたのか、一昨年には新しくゲイのボーカリスト”サム”を迎えての再結成となりました(ま、その後、とんと話題にのぼりませんが…)。

ちなみに、数々の逮捕劇はこちらでご覧いただけます。

そんなわけで、個人名義での出演となったのでしょうが、当然ながら、カルチャー・クラブ時代の楽曲も演っています。

ま、声を聴く限り、こっちの方がよっぽどカルチャー・クラブなんですけど…(笑)。

☆Boy George
「Church Of The Poison Mind」
「Victims」
「Do You Really Want To Hurt Me?」
「Everything I Own」

細身の新ボーカリストを迎えた新生カルチャー・クラブの映像
メタボなボーイ・ジョージの今年のTVライヴの映像


そして、同じく個人名義で出演したのはミッジ・ユーロ [ Midge Ure ] 。

しかし、こちらは再結成されていないだけのことで、やはり、ウルトラヴォックス [ Ultravox ] 時代の曲を中心に演奏したようです。

出来ることならジョン・フォックス [ John Foxx ] 、ビリー・カーリー [ Billy Currie ] らと一緒に登場して、ウルトラヴォックス・ヒストリー・ライヴみたいなことをやってくれると嬉しいんですが、この短い出演時間の中では難しいでしょうか(それ以前にあり得ない企画ですが…。笑)

☆Midge Ure
「Hymn」
「Vienna」

スキンヘッドになったミッジの今年のライヴ映像


ハワード・ジョーンズ [ Howerd Jones ] はデビュー当時のワンマン・スタイルではなく、バンド・スタイルでの出演でした。

ま、元々メロディーが良いだけにどんな風にアレンジしても悪くは聴こえないんですが、個人的には、20周年ライヴの時のように、ほぼワンマン・スタイルでパントマイムのおじさん(=ジェド)と一緒に出演して欲しかったところですね。

☆Howard Jones
「Pearl In The Shell」
「What Is Love?」

20周年記念ライヴで懐かしい機材を弾くハワード・ジョーンズの映像
ミッジ・ユーロ、フィル・コリンズ、ミック・カーン、ブライアン・メイなど、とんでもなくゴージャスなメンツの「What Is Love?」の映像


また、マリ・ウィルソン [ Mari Wilson ] がどんな髪型で登場するのかも気になっていたのですが、残念ながら往年の蜂の巣頭(ビーハイヴ・ヘアー)までは再現してくれなかったようです。

今でもそれなりに奇麗な人なんですが、おかげで、タイトルがなければ誰が歌っているのかわかりませんよね(笑)。

☆Mari Wilson
「Just What I Always Wanted」

BBCのトーク番組で過去を語るマリ・ウィルソンの映像
ちなみにこちらが蜂の巣頭の頃の映像


そして、同姓同名のアーチストの死去が報じられ、一時期は死亡説の流れた<ポール・ヤング [ Paul Young ] も気になるところです。

個人的には、彼のバンドでベースを担当していたピノ・パラディーノ [ Pino Palladino ] の出演を願っていたのですが、顔の判別ができないほどの画質の映像ながら、音を聴く限り、別のプレイヤーが演奏しているようです。

ちょっと物足りない感じはピノのベースが入っていないからなんでしょうか。

☆Paul Young
「Come Back & Stay」

口パクのようですが、2005年のTVライヴの映像
クイーンのトリビュート・ライヴで歌うポール・ヤングの映像


他にも、この2日間で、太って妙に貫禄の出たDr.ロバート率いるブロウ・モンキーズ [ The Blow Monkeys ] や、今でも地味で哀愁漂うチャイナ・クライシス [ China Crisis ] 、おばちゃん化してもポップなバングルス [ The Bangles ] 、相変わらずトロピカルなモダン・ロマンス [ Modern Romance ] 、ちょっと太ってワイルドさの抜けたキム・ワイルド [ Kim Wilde ] 、やっぱりスキンヘッドのクリスチャンズ [ The Christians ] 、なぜか今になってモヒカンにしたニック・カーショウ [ Nik KerShaw ] 、オヤジ化しても美しいハーモニーの10cc、やっぱり国籍不明な音のボニーM [ Boney M ] 、わたしはよく知らないバックス・フィズ [ The Bucks Fizz ] とピーター・アンドレ [ Peter Andre ] 、そしてアバ [ ABBA ] の完コピトリビュート・バンドのビヨーン・アゲイン [ Bjorn Again ] と、ビートルズ [ The Beatles ] の名物トリビュート・バンドのブートレッグ・ビートルズ [ The Bootleg Beatles ] が出演しました。

残念ながら、このイベントでのブートレッグ・ビートルズの映像は発見できなかったのですが、それ以外のグループは画質が悪いながら、YouTubeですべて探し出しましたので下記の映像で雰囲気だけでも感じ取っていただければ幸いです(順不同)。

☆The Blow Monkeys
「Digging Your Scene」

ちなみにこちらがスレンダーな頃の映像

☆China Crisis
「Black Man Ray」

今年のチャイナ・クライシスのライヴ映像

☆The Bangles
「Eternal Flame」

今年のバングルスのライヴ映像

☆Modern Romance
「Ay Ay Ay Ay Moosey」

ちなみにこちらが同曲のプロモ映像

☆Kim Wilde
「You keep me Hanging On」
「Chequered Love」

今年のSopot Festiwalでのキム・ワイルドのライヴ映像

☆The Christians
「Hooverville」

ちなみにこちらが昔のTVライヴ映像

☆Nik Kershaw
「The Riddle」

今年のTV番組でのニック・カーショウのライヴ映像

☆10cc
「I'm not in Love」

10ccのグラハム、クラウデッド・ハウスのニール、アズテック・カメラのロディの3人によるアコースティックな「I'm Not In Love」

☆Boney M
「Rivers Of Babylon」

昨年のライヴでのボニーMの「Rasputin(邦題:怪僧ラスプーチン)」の映像

☆The Bucks Fizz
「Making Your Mind Up」

☆Peter Andre (and special guest backing band)
「Can You Feel It」

☆Bjorn Again(アバのトリビュート・バンド)
「Dancing Queen」

ドイツのTV番組でのライヴ映像

☆The Bootleg Beatles(ビートルズのトリビュートバンド)
「Medley」(今年5月のメドレー映像)


再結成組もさることながら、トリビュート組もなかなか面白いですよね。

ここまで完全にコピーしていると、モノマネ・バンドの域を超えています。

ひょっとしたら、イギリスではトリビュート・バンドだけのロック・フェスなんてのが行われていたりして…。

個人的には、最近気になっているロキシー・ミュージック [ Roxy Music ] のトリビュート・バンドのロキシー・マジック [ Roxy Magic ] も観てみたかったところですが、本家の出演も不可能ではなさそうですから意味がありませんね(笑)。


いや~、それにしても、このライヴを会場でご覧になった方がうらやましいです。

ホーム・ビデオ・カメラの映像ばかりなので、会場のノリがうまく伝わってこないところもあるんでしょうが、恐らく、会場で生で観ることが出来たとしたら鳥肌が立ったことでしょう。

とはいえ、YouTubeが普及したおかげで、居ながらにしてこのような映像を観ることが出来るのですからありがたいことです。

できれば近いうちに日本でもこのようなイベントを企画していただきたいと切に願います。

ちなみに、「レトロフェス」は来年も行われるようですので、興味を持たれた方はレトロフェスの公式サイトをチェックしてみて下さいね。
例年通りなら年明けには次回の出演者が発表されるはずですよ。


Missing Persons/The Best of Missing Persons

The Best of Missing PersonsThe Best of Missing Persons
Missing Persons

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今日紹介するのは、アメリカのグループ、ミッシング・パーソンズ [ Missing Persons ] のベスト・アルバム『The Best of Missing Persons』。

ミッシング・パーソンズのメンバーは、元々フランク・ザッパ [ Frank Zappa ] のバック・バンドに在籍した超実力派で構成されています。

ザッパと言えば、数々の奇行が伝説に残るアメリカ音楽界きっての変人として知られていますが、音の方でもかなりの変態ぶりを発揮しており、プログレ、ジャズ、ハード・ロックなどの要素が複雑に絡み合ったテクニカルな楽曲で神様的な支持を集めていたアーチスト。

また、生涯に発表したアルバム数はギネス・ブックに載るほどの驚異的な数で、ザッパ・コレクターの間では「ザッパ貧乏」という言葉があるんだとか(笑)。

彼らは元々、そんなザッパの門下生でしたので、ニューウェイヴにありがちなパンク出身の音楽的知識やテクニックに乏しいグループとはわけが違います。

もちろん、「演奏テクニックに優れた楽曲=良い曲」という公式が成り立つとは限りませんが、ミッシング・パーソンズに限っては、そういった部分も魅力のひとつとなっているのです。

とはいえ、決して小難しい音楽ではありません。

ボーカルの声質や歌い方は好き嫌いの分かれるところだとは思いますが、演奏に関しては、むしろ、キャッチーなポップスに近いニューウェイヴ志向のサウンドですから、「音学」(音の学問的な意味で)ではなく「音楽」として楽しんでいただけると思います。


ミッシング・パーソンズは、1980年に、ザッパ門下生のウォーレン・ククルロ [ Warren Cuccurullo ] (G) とテリー・ボジオ [ Terry Bozzio ] (D) が中心となり、パトリック・オハーン [ Patrick O'Hearn ] (B)、チャック・ワイルド [ Chuck Wild ] (K)、そして、テリー・ボジオの嫁のデイル・ボジオ [ Dale Bozzio ] (V) というメンバーで結成されました。

結成後まもなく、自主制作で4曲入りのEP(ミニ・アルバム)『Missing Persons』を発表、これがインディーズとしてはかなりの好リアクションをみせ、82年に米キャピタルと契約、同年、『Missing Persons』の再発、デビュー・アルバム『Spring Session M』、シングル「Words」「Destination Unknown」「Windows」「Walking In L.A.」と立て続けに作品を発表、楽曲の出来の良さはもちろんのこと、元プレイメイトだったというボーカルのデイル・ボジオのちょっとエッチで奇抜なファッションが話題となり注目を集めました(どんなファッションだったのかは下記のYouTube映像でご覧下さい)。

デビューEPに収録の「I Like Boys」の映像(音のみ)

「Words」のPV
「Destination Unknown」のPV
「Windows」のライヴ映像
「Walking in L.A.」のライヴ映像

しかし、デイルのファッションがイロモノ扱いを受けたのでしょうか、2ndアルバム『Rhyme & Reason』(1984年)、3rdアルバム『Color in Your Life』(1986年)と発表するたびにチャート順位を落とし、86年にボジオとデイルが離婚したのを機に解散、その後は各自、著名なアーチストらと交流を持ち、幅広いジャンルで活躍しています。

「Give」のPV
「Right Now」のPV
「I Can't Think About Dancing」のPV

余談ですが、私は当時、上の「Give」のプロモに出て来るテリー・ボジオのテーブル型ドラム「TBX」とウォーレン・ククルロの未来的なダブルネック・ギターに興味を持ち、方々の楽器店や音楽雑誌で調べたのですが詳しいことはわかりませんでした(笑)。
恐らく、日本ではほとんど輸入されていなかったのでしょう(ま、見つかったとしてもかなり高価な代物だったでしょうから買えなかったと思います)。
結局、TAMAの四角いエレドラ(テクスター)のパッドをテーブル状に並べて似たようなセットを作り(気分だけですが…笑)ライヴで叩いたのですが、やはり、アマチュアには普通のドラムセットの方が叩きやすかったかも知れません(笑)。


話がそれてしまいましたが、本作『The Best Of Missing Persons』は、彼等の解散後すぐ(1987年)に発表されたミッシング・パーソンズ活動期の軌跡的なアルバムで、シングルを中心に代表曲が15曲収録されている聴きやすくてお得な作品です。

これ以降のテリー、ウォーレン、パトリックのファンの方も、これ1枚くらいは持っておかれて損はないと思いますよ。

もし、ライヴ盤の方がお好みなら、88年に発表された『Late Nights Early Days』もおすすめです。
ジャケットが1stアルバムに髭を書いたパロディーっぽいデザインになっているのもいい感じなんですが、ライヴ盤ならではのバカテク・メンバーの熱の入った演奏が楽しめるのが魅力です。

なお、テリー・ボジオは、別名「要塞」とも呼ばれるドラム・セットで知られる超バカテク・ドラマーで、解散後は、以前「」で紹介したミック・カーン [ Mick Karn ] 、デヴィッド・トーン [ David Torn ] との単発ユニットポリー・タウン [ Polytown ] の他、ジェフ・ベック [ Jeff Beck ] の『Jeff Beck's Guitar Shop』やU.K.の『Danger Money』、スティーヴ・ヴァイ [ Steve Vai ] の『Sex & Religion』、コーン [ Korn ] の『Untitled』、X-JAPANのHideのソロ『HIDE YOUR FACE』などでも活躍しています。

最近は、その「要塞」もますます大掛かりなものとなっており、ローディーさんの苦労は並大抵のものではないだろうな…なんて考えさせられていたのですが、実際、恐ろく時間がかかっているようです。
YouTubeでそのセッティング映像が公開されていましたので、一度ご覧になってみて下さい。

テリー・ボジオのドラムセットのセッティング映像(驚愕!)
コーンのライヴの「I Will Protect You」でのソロパートの映像
テリー・ボジオ・ドラム・クリニックの映像
 (「要塞」がフル活用されています!特に後半がすごい!)

ちなみに、ミッシング・パーソンズの解散後、例のテーブル型のパッドを叩いている姿は見かけたことがありませんので、やはりプロモ用のダミーだったんでしょうか(笑)。


ウォーレン・ククルロは、ラック・ジャンキーと呼ばれるほどのエフェクター・マニアで、まるで業務用冷蔵庫のようなラック(笑)を使用したトリッキーなギター・プレイで有名です。
後にデュラン・デュラン [ Duran Duran ] に参加したことでも知られていますが、自身のソロ・アルバム『Thanks to Frank』ではカジャグーグー [ Kajagoogoo ] のバカテク・スティック奏者ニック・ベッグス [ Nick Beggs ] やポール・ヤング [ Paul Young ] のバンドにもいた個性派フレットレス・ベース奏者ピノ・パラディーノ [ Pino Palladino ] と競演、あと、日本人ではなんと、あの小室哲哉などともライヴで競演しているんですよ。

ウォーレン・ククルロ×小室哲哉の「20th Century Boy」のライヴ映像 (ウォーレンが歌ってます。小室も歌ってますが…)
デュラン・デュラン「Wild Boys」のライヴ映像

ちなみに、こちらも解散後、例の未来的なダブルネック・ギターを弾いている姿は目撃していません(笑)。


パトリック・オハーンは、今ではベーシストとしてより、インスト主体の作品を発表しているニューエイジ系アーチストとして知られており、、ピーター・バウマン [ Peter Baumann ] 主催のプライベート・ミュージック [ Private Music ] やウィンダム・ヒル [ Windham Hill ] から、デヴィッド・シルヴィアン [ David Sylvian ] のアルバムにも参加しているフリューゲル・ホーン奏者マーク・アイシャム [ Mark Isham ] 、エフェクティヴでトリッキーなギター・プレイで知られるデヴィッド・トーン [ David Torn ] 、また、盟友のテリー・ボジオやウォーレン・ククルロなどを招いて数々の面白い作品を発表しています。

個人的には88年発表の『Rivers Gonna Rise』がおすすめですので、興味を持たれた方はぜひ聴いてみて下さい。

なお、彼の楽曲は、日本のドキュメンタリー系テレビ番組などで耳にすることも少なくありませんので、彼をご存じない方でも楽曲を聴けばお分かりになるかも知れません。

パトリック・オハーン「Beauty In Darkness」の映像
パトリック・オハーン「Homeward Bound」の映像


そして、デイル・ボジオは離婚後もなぜかボジオ姓を名乗り、88年にプリンスのペイズリー・パーク [ Paisley Park Records ] から1stソロ『Riot In English』を発表、いかにもプリンス・ファミリーな曲調のシングル『Simon Simon』がそこそこのヒットとなっています。
その後はプリンスのトリビュート・アルバム『Party O'The Times: A Tribute to Prince』や、マドンナのトリビュート・アルバム『Virgin Voices: A Tribute To Madonna vol. 2』などにも参加、また、昨年には『New Wave Sessions』というアルバムを発表し、ミッシング・パーソンズ時代の曲をリメイクしているそうです。

デイル・ボジオ「Simon Simon」のPV


余談ですが、デヴィッド・シルヴィアンの元嫁イングリッド・シャヴェス [ Ingrid Chavez ] も昔、ペイズリー・パークからソロ・アルバム『Ingrid Chavez』を発表しているんですよ。
そのアルバムといい、ケイト・ブッシュ [ Kate Bush ] の『The Red Shoes』に収録された「Why Should I Love You?」といい、プリンスが少しでも関わった楽曲はすべてプリンス・ファミリーらしい音になっているのが面白いですね(笑)。

あと、チャック・ワイルドに関しては、残念ながらあまり情報がないのですが、アート・オブ・ノイズ [ The Art Of Noise ] の「Paranomia」のプロモでも知られるマックス・ヘッドルーム [ Max Headroom ] のTVシリーズのサントラなどを手がけていたと聞きますから、この後はTVドラマや映画音楽の方面で活躍しているのかも知れません。
なお、ミッシング・パーソンズは2001年と2003年にオリジナル・メンバーで再結成されツアーも行われているようですが、その後、バンドとしての活動は不明です。

それ以外でも、たまに、デイルがミッシング・パーソンズ名義で活動していることがあるそうですが、他のメンバーが参加していることはほとんどなく、実質デイルのソロであるとのこと(確かにプリンスやマドンナのトリビュート盤の名義ではミッシング・パーソンズという名前がクレジットされています)。

デイルがいつまでボジオ姓を名乗って仕事をするのかは疑問ですが、もしまた正式にミッシング・パーソンズが再結成されることがあるなら、今度は新曲のたっぷり入ったニューアルバムも聴かせていただきたいところです。


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