80's New Wave Laboratory

80年代のニューウェイヴ音源を中心に、近況やYouTube映像などを交えてレビューを書いています

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Missing Persons/The Best of Missing Persons

The Best of Missing PersonsThe Best of Missing Persons
Missing Persons

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今日紹介するのは、アメリカのグループ、ミッシング・パーソンズ [ Missing Persons ] のベスト・アルバム『The Best of Missing Persons』。

ミッシング・パーソンズのメンバーは、元々フランク・ザッパ [ Frank Zappa ] のバック・バンドに在籍した超実力派で構成されています。

ザッパと言えば、数々の奇行が伝説に残るアメリカ音楽界きっての変人として知られていますが、音の方でもかなりの変態ぶりを発揮しており、プログレ、ジャズ、ハード・ロックなどの要素が複雑に絡み合ったテクニカルな楽曲で神様的な支持を集めていたアーチスト。

また、生涯に発表したアルバム数はギネス・ブックに載るほどの驚異的な数で、ザッパ・コレクターの間では「ザッパ貧乏」という言葉があるんだとか(笑)。

彼らは元々、そんなザッパの門下生でしたので、ニューウェイヴにありがちなパンク出身の音楽的知識やテクニックに乏しいグループとはわけが違います。

もちろん、「演奏テクニックに優れた楽曲=良い曲」という公式が成り立つとは限りませんが、ミッシング・パーソンズに限っては、そういった部分も魅力のひとつとなっているのです。

とはいえ、決して小難しい音楽ではありません。

ボーカルの声質や歌い方は好き嫌いの分かれるところだとは思いますが、演奏に関しては、むしろ、キャッチーなポップスに近いニューウェイヴ志向のサウンドですから、「音学」(音の学問的な意味で)ではなく「音楽」として楽しんでいただけると思います。


ミッシング・パーソンズは、1980年に、ザッパ門下生のウォーレン・ククルロ [ Warren Cuccurullo ] (G) とテリー・ボジオ [ Terry Bozzio ] (D) が中心となり、パトリック・オハーン [ Patrick O'Hearn ] (B)、チャック・ワイルド [ Chuck Wild ] (K)、そして、テリー・ボジオの嫁のデイル・ボジオ [ Dale Bozzio ] (V) というメンバーで結成されました。

結成後まもなく、自主制作で4曲入りのEP(ミニ・アルバム)『Missing Persons』を発表、これがインディーズとしてはかなりの好リアクションをみせ、82年に米キャピタルと契約、同年、『Missing Persons』の再発、デビュー・アルバム『Spring Session M』、シングル「Words」「Destination Unknown」「Windows」「Walking In L.A.」と立て続けに作品を発表、楽曲の出来の良さはもちろんのこと、元プレイメイトだったというボーカルのデイル・ボジオのちょっとエッチで奇抜なファッションが話題となり注目を集めました(どんなファッションだったのかは下記のYouTube映像でご覧下さい)。

デビューEPに収録の「I Like Boys」の映像(音のみ)

「Words」のPV
「Destination Unknown」のPV
「Windows」のライヴ映像
「Walking in L.A.」のライヴ映像

しかし、デイルのファッションがイロモノ扱いを受けたのでしょうか、2ndアルバム『Rhyme & Reason』(1984年)、3rdアルバム『Color in Your Life』(1986年)と発表するたびにチャート順位を落とし、86年にボジオとデイルが離婚したのを機に解散、その後は各自、著名なアーチストらと交流を持ち、幅広いジャンルで活躍しています。

「Give」のPV
「Right Now」のPV
「I Can't Think About Dancing」のPV

余談ですが、私は当時、上の「Give」のプロモに出て来るテリー・ボジオのテーブル型ドラム「TBX」とウォーレン・ククルロの未来的なダブルネック・ギターに興味を持ち、方々の楽器店や音楽雑誌で調べたのですが詳しいことはわかりませんでした(笑)。
恐らく、日本ではほとんど輸入されていなかったのでしょう(ま、見つかったとしてもかなり高価な代物だったでしょうから買えなかったと思います)。
結局、TAMAの四角いエレドラ(テクスター)のパッドをテーブル状に並べて似たようなセットを作り(気分だけですが…笑)ライヴで叩いたのですが、やはり、アマチュアには普通のドラムセットの方が叩きやすかったかも知れません(笑)。


話がそれてしまいましたが、本作『The Best Of Missing Persons』は、彼等の解散後すぐ(1987年)に発表されたミッシング・パーソンズ活動期の軌跡的なアルバムで、シングルを中心に代表曲が15曲収録されている聴きやすくてお得な作品です。

これ以降のテリー、ウォーレン、パトリックのファンの方も、これ1枚くらいは持っておかれて損はないと思いますよ。

もし、ライヴ盤の方がお好みなら、88年に発表された『Late Nights Early Days』もおすすめです。
ジャケットが1stアルバムに髭を書いたパロディーっぽいデザインになっているのもいい感じなんですが、ライヴ盤ならではのバカテク・メンバーの熱の入った演奏が楽しめるのが魅力です。

なお、テリー・ボジオは、別名「要塞」とも呼ばれるドラム・セットで知られる超バカテク・ドラマーで、解散後は、以前「」で紹介したミック・カーン [ Mick Karn ] 、デヴィッド・トーン [ David Torn ] との単発ユニットポリー・タウン [ Polytown ] の他、ジェフ・ベック [ Jeff Beck ] の『Jeff Beck's Guitar Shop』やU.K.の『Danger Money』、スティーヴ・ヴァイ [ Steve Vai ] の『Sex & Religion』、コーン [ Korn ] の『Untitled』、X-JAPANのHideのソロ『HIDE YOUR FACE』などでも活躍しています。

最近は、その「要塞」もますます大掛かりなものとなっており、ローディーさんの苦労は並大抵のものではないだろうな…なんて考えさせられていたのですが、実際、恐ろく時間がかかっているようです。
YouTubeでそのセッティング映像が公開されていましたので、一度ご覧になってみて下さい。

テリー・ボジオのドラムセットのセッティング映像(驚愕!)
コーンのライヴの「I Will Protect You」でのソロパートの映像
テリー・ボジオ・ドラム・クリニックの映像
 (「要塞」がフル活用されています!特に後半がすごい!)

ちなみに、ミッシング・パーソンズの解散後、例のテーブル型のパッドを叩いている姿は見かけたことがありませんので、やはりプロモ用のダミーだったんでしょうか(笑)。


ウォーレン・ククルロは、ラック・ジャンキーと呼ばれるほどのエフェクター・マニアで、まるで業務用冷蔵庫のようなラック(笑)を使用したトリッキーなギター・プレイで有名です。
後にデュラン・デュラン [ Duran Duran ] に参加したことでも知られていますが、自身のソロ・アルバム『Thanks to Frank』ではカジャグーグー [ Kajagoogoo ] のバカテク・スティック奏者ニック・ベッグス [ Nick Beggs ] やポール・ヤング [ Paul Young ] のバンドにもいた個性派フレットレス・ベース奏者ピノ・パラディーノ [ Pino Palladino ] と競演、あと、日本人ではなんと、あの小室哲哉などともライヴで競演しているんですよ。

ウォーレン・ククルロ×小室哲哉の「20th Century Boy」のライヴ映像 (ウォーレンが歌ってます。小室も歌ってますが…)
デュラン・デュラン「Wild Boys」のライヴ映像

ちなみに、こちらも解散後、例の未来的なダブルネック・ギターを弾いている姿は目撃していません(笑)。


パトリック・オハーンは、今ではベーシストとしてより、インスト主体の作品を発表しているニューエイジ系アーチストとして知られており、、ピーター・バウマン [ Peter Baumann ] 主催のプライベート・ミュージック [ Private Music ] やウィンダム・ヒル [ Windham Hill ] から、デヴィッド・シルヴィアン [ David Sylvian ] のアルバムにも参加しているフリューゲル・ホーン奏者マーク・アイシャム [ Mark Isham ] 、エフェクティヴでトリッキーなギター・プレイで知られるデヴィッド・トーン [ David Torn ] 、また、盟友のテリー・ボジオやウォーレン・ククルロなどを招いて数々の面白い作品を発表しています。

個人的には88年発表の『Rivers Gonna Rise』がおすすめですので、興味を持たれた方はぜひ聴いてみて下さい。

なお、彼の楽曲は、日本のドキュメンタリー系テレビ番組などで耳にすることも少なくありませんので、彼をご存じない方でも楽曲を聴けばお分かりになるかも知れません。

パトリック・オハーン「Beauty In Darkness」の映像
パトリック・オハーン「Homeward Bound」の映像


そして、デイル・ボジオは離婚後もなぜかボジオ姓を名乗り、88年にプリンスのペイズリー・パーク [ Paisley Park Records ] から1stソロ『Riot In English』を発表、いかにもプリンス・ファミリーな曲調のシングル『Simon Simon』がそこそこのヒットとなっています。
その後はプリンスのトリビュート・アルバム『Party O'The Times: A Tribute to Prince』や、マドンナのトリビュート・アルバム『Virgin Voices: A Tribute To Madonna vol. 2』などにも参加、また、昨年には『New Wave Sessions』というアルバムを発表し、ミッシング・パーソンズ時代の曲をリメイクしているそうです。

デイル・ボジオ「Simon Simon」のPV


余談ですが、デヴィッド・シルヴィアンの元嫁イングリッド・シャヴェス [ Ingrid Chavez ] も昔、ペイズリー・パークからソロ・アルバム『Ingrid Chavez』を発表しているんですよ。
そのアルバムといい、ケイト・ブッシュ [ Kate Bush ] の『The Red Shoes』に収録された「Why Should I Love You?」といい、プリンスが少しでも関わった楽曲はすべてプリンス・ファミリーらしい音になっているのが面白いですね(笑)。

あと、チャック・ワイルドに関しては、残念ながらあまり情報がないのですが、アート・オブ・ノイズ [ The Art Of Noise ] の「Paranomia」のプロモでも知られるマックス・ヘッドルーム [ Max Headroom ] のTVシリーズのサントラなどを手がけていたと聞きますから、この後はTVドラマや映画音楽の方面で活躍しているのかも知れません。
なお、ミッシング・パーソンズは2001年と2003年にオリジナル・メンバーで再結成されツアーも行われているようですが、その後、バンドとしての活動は不明です。

それ以外でも、たまに、デイルがミッシング・パーソンズ名義で活動していることがあるそうですが、他のメンバーが参加していることはほとんどなく、実質デイルのソロであるとのこと(確かにプリンスやマドンナのトリビュート盤の名義ではミッシング・パーソンズという名前がクレジットされています)。

デイルがいつまでボジオ姓を名乗って仕事をするのかは疑問ですが、もしまた正式にミッシング・パーソンズが再結成されることがあるなら、今度は新曲のたっぷり入ったニューアルバムも聴かせていただきたいところです。


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