80's New Wave Laboratory

80年代のニューウェイヴ音源を中心に、近況やYouTube映像などを交えてレビューを書いています

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ACT/Laughter,Tears and Rage [ Deluxe Edition ]

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アクト

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今日紹介するアクト [ ACT ] の『Laughter,Tears and Rage(邦題:ラフター、ティアーズ&レイジ)』は、元プロパガンダ [ Propaganda ] の歌姫、クラウディア・ブルッケン [ Claudia Brucken ] (ドイツ語ですので正確には2つ目の”u”の上に点が2つ付きます)と、70年代後半からテクノの元祖的な活動をしてきたアーチスト、トーマス・リア [ Thomas Leer ] の2人による結果として短命で終わってしまったユニットの1988年発表の唯一のオリジナル・フル・アルバム。

今回紹介している『Laughter,Tears and Rage [ Deluxe Edition ] 』は、今年1月にZTT Japanから「ZTT アーカイブス 復刻シリーズ 第3弾」として発表された4作品のうちの1枚で、1988年発表の通常盤(LP発売時11曲、CD発売時14曲)にボーナストラックを追加した22曲入りの盤に加えて、2004年にZTTのサイトからのみ7,500枚限定発売され即完売となったCD3枚組の英国盤『Laughter, Tears and Rage: The Anthology』から選りすぐりのレア曲やリミックスを13曲収録したボーナス盤を追加した2枚組、合計35曲収録の日本限定盤(日本語のライナー・ノーツが付属、歌詞、歌詞対訳なし)です。

実は、本作、前々から取り上げたいと思っていたアルバムの1枚だったのですが、発表当時のセールスが悪かったせいか流通量そのものが少ない上、解散後になって再評価されたため長らく廃盤状態が続いていたんですよ。

その後発売された3枚組の限定版はあっという間に売り切れてしまいましたし、たまに出る中古盤は2~3倍のプレミアのついたものばかりでなかなか手が出せません。

ま、それでもLP盤は持っていたので、そこに収録された分だけでも紹介させていただこうかと考えていたんですが、そうこうしている間に、ZTT Japanから豪華な内容の復刻版が安価で発売されたというわけなんです。

昔、12インチ盤を苦労して探しまわったのは何だったんだ!と、うっすら疑問を感じつつも(笑)、そりゃもう嬉しくて、早速、購入しました(笑)。


さて、内容をレビューする前に、アクトの2人について紹介しておこうと思うのですが、クラウディア・ブルッケンに関しては「80's UK New Wave」の方で何度も取り上げておりますので「Propaganda」もしくは「Claudia Brucken」のところをお読みいただくとして、今回は相方のトーマス・リアーについて簡単に紹介しておきます。

トーマス・リアーは、1970年代後半からMTR(マルチ・トラック・レコーダー)による多重録音でテクノ・ポップと呼ぶには少々実験的な作品を発表してきたアーチストで、シンセサイザー、ピアノ、ギター、ベース、ボーカルなどを1人でこなすマルチ・プレイヤー。
コアなファンには「シンセ職人」や「実験くん」(笑)なんて呼ばれ方もしているようです。

そのスジの方(笑)に有名な彼の作品としては、テクノの裏名盤との誉れも高いロバート・レンタル [ Robert Rental ] と共同名義の『The Bridge』(1979) 、ソロ名義では、デビュー・シングルの「Private Plane」(1978)、12inch2枚組で発表された『Contradictions』(1982)、サンプリングを多用した『The Scale of Ten』(1985)、などがあります。

なお、『The Bridge』は、TGことスロッビング・グリッスル [ Throbbing Gristle ] の自主レーベルであるインダストリアル・レコード [ Industrial Record ] 、『Scale of Ten』はメジャーのアリスタ [ Arista Records ] から発表されているものの、『Contradictions』の方はなぜかネオアコの総本山とも呼ばれるチェリー・レッド・レーベル [ Cherry Red Records ] から発表されているため、ネオアコ系のアーチストという誤解を受けていたりもするのですが(笑)、私の知る限りはテクノ、アンビエント、ハウス、インダストリアルなど、どちらかと言えば電子楽器を多用した音楽ジャンルのアーチストです。

そんなトーマス氏がクラウディアと組んだのは1987年のこと。

クラウディアは85年にプロパガンダを脱退し、同年、元ヘヴン17 [ Heaven 17 ] のボーカルで後にABC☆でマーティン・フライ [ Martin Fry ] の右腕となるグレン・グレゴリー [ Glenn Gregory ] との共同名義でZTTからシングル(12inch)「When Your Heart Runs Out Of Time」を発表。

このシングルは、後にクラウディアの夫となるポール・モーリィ [ Paul Morley ] のアイデアにより企画されたものなんですが、プロパガンダの重量感のあるダークな音楽性とはかけ離れたムーディーな作品だったせいかセールス的には伸び悩み、単発の企画ものの域をでることはありませんでした。
(このシングルにはこっそりギターでミッジ・ユーロ [ Midge Ure ] の名前がクレジットされているんですよ。ま、これぞミッジ!というプレイではありませんが…。笑)

当時、プロパガンダの大ファンだった私にとってみれば、確かに肩すかしをくらったような印象を持ちましたが、今になって聴いてみれば、キャバレー・ミュージック~日本のムード歌謡をエレポップ風に味付けしたようなシングルで、これはこれでなかなか面白い作品ですので、ZTT Japanさんには何らかの形で再発をお願いしたいところです。

このシングルがこの後のクラウディアのポップス・フォーマットでの音楽活動におけるひな形的な作品となり、今日紹介しているアクト~ソロ、そして元OMD [ Orchestral Manoeuvres in the Dark ] のポール・ハンフリーズ [ Paul Humphreys ] と結成したワン・トゥー [ One Two ] などにも影響を及ぼしているのかも知れません。

プロパガンダの音楽性を、インダストリアル、ゴス、エレポップの中間的なポジションに位置するダークなポップスと表現するならば、アクトはその流れをよりポップに軌道修正し、曲によってハウスやジャズ、サイケ、50年代のキャバレー・ミュージックなどのエッセンスを加えた80年代後半のダンサンブルなポップス、と表現することができます。

良く言えば多彩な、悪く言えば的を絞り込めていないアルバムと言うこともできるわけですが、そもそもコンセプチュアル・アルバム的な要素はほとんどなく、シングルをまとめたベスト盤的な風合いを持ったアルバムですので、プロパガンダの面影さえ追わなければ、それはそれで楽しむことが出来ると思います。

とはいえ、プロパガンダ的な要素が皆無というわけではありません。

鼻にかかった妖しいクラウディアの歌声は何ら変わっていませんし、曲によっては、『A Secret Wish』に収録されていても違和感のない曲もあります。
また、『A Secret Wish』をプロデューサーであるスティーヴ・リプソン [ Stephen Lipson ] がほとんどの曲をプロデュースしているわけですし、ゴージャスなストリングスやパーカッション、ダークなメロディー・ラインなどの部分であの独特の雰囲気が継承されているように感じる曲もありました。さらには、ZTTレーベルの創始者であるトレヴァー・ホーン [ Torevor Horn ] がプロデュースした楽曲も収録されています。

しかし、ジャパン=シルヴィアン&フリップではないのと同じく、プロパガンダ=アクトではありません(…と、またシルヴィアンを例にあげるマスター。笑)。
やはり、全くの別物と認識した上でお聴きになられることをオススメします。

さて、本作の内容ですが、基本的には88年に発表された『Laughter,Tears and Rage』(LP発売時11曲)に未収録曲と別ミックスを24曲追加した2枚組です。

Disc 1の収録曲は以下の通り。
なお、タイトルが赤くなっているものはYouTube映像をリンクしてありますので、興味を持たれた方は曲タイトルをクリックしてご覧ください。

1. Absolutely Immune
2. Chance
3. Laughter
4. I Can't Escape From You
5. Short Story (Thinker)
6. Poison
7. Under The Nights Of Germany
8. Heaven Knows I'm Miserable Now
9. The 3rd Planet
10. Gestures
11. Bloodrush
12. A Friendly Warning
13. Certified
14. Where Love Lies Bleeding
15. (Theme From) Laughter
16. Snobbery And Decay
17. I'd Be Surprisingly Good For You
18. (Theme From) Snobbery And Decay
19. Absolutely Immune (Seven Inch Mix)
20. White Rabbit
21. Dear Life
22. (Theme From) I Can't Escape From You

なお、DISC 1のプロデュースは、「2. Chance」がトレヴァー・ホーン、「12. A Friendly Warning」がアクト、「15. (Theme From) Laughter」がグレッグ・ウォルシュ [ Greg Walsh ] 、それ以外の曲はすべてステファン・リプソンが担当しているようです。

なぜか発表当時のアルバムには、アクトの楽曲の中で最もヒットしたシングル「Snobbery And Decay」が収録されていなかったのですが、これが耳馴染みのあるシングル・バージョンに加えて別バージョンまで収録されたのは嬉しいことですね。

また、生ピアノをフィーチャーしたジャズ~シャンソンっぽい楽曲や、ボディ・ビート風のミックス、スミス [ The Smith ] のカバー曲「Heaven Knows I'm Miserable Now」なども追加されており、ただでさえ守備範囲の広いアクトの音楽性をいっそう広げています。

ただ、やはりアクトに関しても従来のZTTの手法は継承されていますので、フランキーやAON同様、数々の12inchシングルで多種多様なバージョンが発表されています。

さすがにそれら全てを聴いて来たわけではありませんので、どの曲がどのシングルにカップリングされていたのか、すべてを把握することはできないのですが、付属のライナーノーツにボーナス・ディスク(Disc 2)に収録された楽曲のみ、簡単な解説がありましたので、DISC 2に関してはそちらをそのまま引用させていただき、一部、私の補足を加えて紹介することにします。

ちなみに、こちらもタイトルが赤くなっているものはYouTube映像をリンクしてありますので、興味を持たれた方は曲タイトルをクリックしてご覧ください。

1. Snobbery and Decay (The Naked Civil)
多数リリースされた同局のリミックスのうち、限定の12インチ(12XACT28)に収録されたヴァージョン。原曲、他ヴァージョンとくらべ、これぞZTTというエレクトリックなリミックスとなっている。
(イントロ部分だけを聴くとプロパガンダのリミックス曲を思い出してしまいますが、ひょっとすると同じバスドラの音やベース音を使っているのかも知れません。途中に聴こえるオケヒットにはニヤけてしまいます。笑)

2. Strong Poison
同じく(12XACT28)に収録されたアルバム収録曲「Poison」のリミックス。80年代後期ならではのエレクトロなリズム強化は聴きもの。

3. Absolutely Immune II (Trevor's Twelve Inch Mix)
同曲の限定12インチ(VIMM1)に収録されたトレヴァー・ホーン自身によるリミックス・ヴァージョン。
(このバージョンは、ミックスがトレヴァー・ホーン、プロデュースがステファン・リプソンを担当しているようです。)

4. Chance (Throbbin' Mix)
トラブルにより発売中止(発売中止前に少数は流通したようだ)になった同曲の12インチ(BETT1)のためのリミックス・ヴァージョン。各種制作されたが、フランキー・ゴーズ・トゥー・ハリウッドを彷彿とさせるエレクトリック・ディスコなヴァージョンとなっている。
(トラブルにより発売中止となったのは、88年に発表しようとした「Chance」のシングル。アバ [ ABBA ] の楽曲の一部をサンプリングして使おうとしたところ、裁判沙汰になり敗訴、このことにより、発売したばかりの同曲のシングルは回収、この後発表されたアルバムにはサンプリングした部分をカットしたミックスが収録されました。
なお、余談ですが、アバは最近まで、一切のサンプリング行為 {※} を許しておらず、他でも裁判を起こしているのだとか。しかし、96年にフージーズが「Rumble in the Jungle」でアバの「The Name Of The Game」、2005年にマドンナが「Hung Up」でアバの「Gimme Gimme Gimme」のサンプリング使用を許可されています。ま、許可される基準は曖昧ですが、いずれにせよ、今でもアバの曲をサンプリングして使用する承諾を得るのは至難の業のようです。{※ カバー曲ではなく、曲の一部をサンプリングして別のトラックに乗せるという意味です。念のため。} )

5. Winner '88 (Extended)
同12インチ(BETT1)のカップリングのためのリミックス・ヴァージョン。

6. I Can't Escape From You (Love and Hate)
12インチ(TIMM2)のためのリミックス・ヴァージョン。ポップでメランコリックな原曲の魅力がさらにアップされている。

7. Under the Nights of Germany (Trial Edit)
アルバムに収録された同曲のエディット・ヴァージョン。

8. States Of Logic
「Absolutely Immune II」の12インチ(VIMM1)にカップリングされたアルバム未収録曲。

9. Body Electric
2004年の限定盤3CDのボーナス・ディスクに収録された完全未発表曲。

10. Heaven Knows I'm Miserable Now (Lucky's Skank 1)
「 I Can't Escape From You」の12インチ、CDシングルのカップリングとなったザ・スミス [ The Smith ] のカヴァー曲。
(ちなみにスミスの原曲はこちら→The Smith「Heaven Knows I'm Miserable Now」

11. Winner '88 (Instrumental)
2004年の限定盤3CDのボーナス・ディスクに収録された当時未発表のインスト・ヴァージョン。ACT風エレクトリック・ボディ・ミュージック!

12. (We Give You Another) Chance
同曲の12インチ(BETT1)のカップリングとなった別リミックス・ヴァージョン。

13. Gestures (Improvised)
2004年の限定盤3CDのボーナス・ディスクに収録された当時未発表のリミックス。アルバムに収録された約4分の原曲を10分を超える大作に。90年代以降のクラブ・ミュージックを先取りした先進的ヴァージョンとなっている。

なお、DISC 2のプロデュースは「4. Chance (Throbbin' Mix)」はトレヴァー、「Winner '88 (Extended)」「9. Body Electric」「10. Heaven Knows I'm Miserable Now (Lucky's Skank 1)」「11. Winner '88 (Instrumental)」がアクト、それ以外の曲は全てステファン・リプソンが担当していようです。


ところで、私は今回の復刻シリーズで、本作とアン・ピガール [ Anne Pigalle ] の『Everything Could Be So Perfect…』の2枚を購入したのですが、それぞれ以前のCDのジャケットと見比べてみてちょっとした違いに気がつきました。

使われている写真が同じであることは間違いないのですが、裏表共に少々画質が荒く、わずかにレイアウトを変更した上で紙ジャケ化されています。

恐らく、昔のジャケットからカラーコピーした写真をトリミングしてサイズに合うように拡大したのでしょう。

オリジナル盤を持っている私としてはこの点だけが残念なのですが、それでも復刻盤発売に際してのZTT Japanさんの苦労が感じ取れました。

できれば表ジャケットくらいはオリジナルに忠実であって欲しいところですが、ZTTレーベルの作品はレアな12インチ盤が多いだけに、今後も本作のようなレア・トラックを網羅した復刻盤を企画していただきたいと思います。

いずれにせよ、非常にお得な盤であることは間違いありませんので、興味を持たれた方はこの機会に手に入れて下さい。

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