80's New Wave Laboratory

80年代のニューウェイヴ音源を中心に、近況やYouTube映像などを交えてレビューを書いています

カウンター

プロフィール

BL Master

Author:BL Master

 当ブログは、現在、ライブドア・ブログで書きためた記事に加筆、訂正の上、お引っ越し中です。

ダブっている記事もございますが、よろしければ『80's UK New Wave』の方にもお越しくださいませ。

歌詞検索

↓ 洋楽の英語詩のみですが、
曲名を入力して歌詞を検索できます。

Lyrics Search Engine

Automatic Translation

QRコード

QRコード

リンク

このブログをリンクに追加する

Amazon

おすすめBOOKS

Ninja Tools

RSSフィード

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ULTRAVOX/Systems Of Romance

Systems of RomanceSystems of Romance
Ultravox

Universal Island 2006-08-29
売り上げランキング : 81463
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



今日紹介するのはウルトラヴォックス [ ULTRAVOX ] が1978年に発表した3rdアルバム『Systems Of Romance(邦題:システムズ・オブ・ロマンス)』です。

ウルトラヴォックスと言えば、ほとんどの方はミッジ・ユーロ [ Midge Ure ] を思い出されるのではないかと思うのですが、ミッジ・ユーロが在籍したのは、1979年に誕生した第2期ウルトラヴォックスからで、実はミッジが作り上げたグループではありません。

簡単にの歴史を辿ると、最初にウルトラヴォックスというグループ名で活動を開始したのが75年、それまでタイガー・リリィ [ Tiger Lily ] やファイアー・オブ・ロンドン [ Fire Of London ] などのバンド名で活動していたジョン・フォックス [ John Foxx ] (V)、ウォーレン・カン [ Warren Cann ] (D)、クリス・クロス [ Criss Cross ] (B)、スティーヴ・シェアーズ [ Steve Shears ] (G)の4人にビリー・カーリー [ Billy Currie ] (Key,Violin)が新たに加わった時点からスタートしています。

その後、77年にブライアン・イーノ [ Brian Eno ] プロデュースによるデビュー・アルバム『Ultravox!』、続いて同年、スティーヴ・リリー・ホワイト [ Steve Lillywhite ] プロデュースによる2ndアルバム『Ha!-Ha!-Ha!』を発表、パンク全盛の時代に、シンセサイザーを用いた新たな手法のサウンドを提示し、ニューウェイヴ時代の幕開けを予感させました。

とはいえ、この時点ではまだまだパンクに電子楽器を加えた激しめのサウンドが中心で、第2期ウルトラヴォックスやジョン・フォックスのソロに見られる、流れるようなヨーロピアン・エレクトリック・テイストは前面に出ていません(ちなみに、2ndアルバムまではグループ名の最後に [ ! ] が付いていました。笑)。

その翌年、78年に発表されたのが、コニー・プランク [ Conny Plank ] プロデュースによる本作『Systems Of Romance』で、ギタリストがスティーヴ・シェアーズからロビン・サイモン [ Robin Simon ] に代わり、サウンド的にはシンセサイザーを中心に据えた音作りにシフト。

第2期ウルトラヴォックスの特徴でもある、耽美的とも言える独自のヨーロピアン・エレクトリック・サウンドは、この時点でほぼ完成し、ニューウェイヴ・シーンの始まりを告げる革命的な作品の1枚となりました。

TV番組での「Slow Motion」のライヴ映像
「Slow Motion」のライヴ映像
「Quiet Men」のライヴ映像

しかし、時代の先を走りすぎだったのか、商業的な成功には結びつかず、その評価の低さにショックを受けたジョン・フォックスは「もうウルトラヴォックスでボクがやれることは何も残っていない」という言葉を残し、78年の全米ツアー後、脱退してしまいました。


一方、フロントマンを失ったウルトラヴォックスは、一時的に解散状態となったのですが、この頃、ミッジ・ユーロを中心とする新しいプロジェクトにビリー・カーリーが参加、ここで2人は意気投合し、第2期ウルトラヴォックスの構想が練られることになったのです。

ちなみに、この新しいプロジェクトというのは、これまたニューウェイヴの名盤として名高いヴィサージ [ Visage ] の『Visage(邦題:フェイド・トゥ・グレイ)』のことです。

そうして生まれた第2期ウルトラヴォックスは、第1期の最後で完成されたニュー・ロマンティックの原点とも言えるヨーロピアン・テイストたっぷりの耽美的ニューウェイヴ・サウンドを継承しつつ、ミッジ・ユーロの持つポップなセンスを前面に出し大成功、一躍メジャー・バンドへと成長を遂げました。


同じようなパターンとしては、ちょうど、ジェネシス [ Genesis ] とピーター・ガブリエル [ Peter Gabriel ] の関係が当てはまるような気がします。

ピーター・ガブリエルをリーダーとする玄人受けの第1期があり、その後、ピーターと入れ替わりでフィル・コリンズ [ Phil Colins ] が加入、そこから一気にメジャー街道をひた走ったため、フィル・コリンズ=ジェネシスというイメージの定着していますからね(笑)。


ジョン・フォックス在籍時代のウルトラヴォックスは、一言で言えば「ミュージシャンズ・ミュージシャン」的な存在で、商業的な成功こそなかったものの、玄人ウケだけは良かったようで、以降のニューウェイヴ系アーチストに大きな影響を与えています。

特に、本作『Systems Of Romance』の耽美的なエレクトリック・サウンドは玄人ウケが良く、ゲイリー・ニューマン [ Gary Numan ] やYMOなど、エレクトリック・ポップやテクノ系の大御所アーチストが、そこから受けた影響の大きさを語っています。

ゲイリー・ニューマンの「ボクが師と仰ぐのはジョン・フォックスだ」という発言や、YMOの2ndアルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』制作時に、坂本龍一が細野晴臣に聞かせた本作の影響でベースラインを作り直したという話はファンの間では有名な話ですよね。

実際、ゲイリー・ニューマンの出世作となった『The Pleasure Principle』などは、音作りの意味で本作とかなり似たところがありますし、チューブウェイ・アーミー [ Tubeway Army ] 時代の作品は生音と電子楽器のバランスの点でも共通点を見つけることができます。

また、自ら語ってはいないものの、『Flesh + Blood』『Avalon』の頃のロキシー・ミュージック [ Roxy Music ] 、『Quiet Life』『Gentlemen Take Polaroids(邦題:孤独な影)』の頃のジャパン [ Japan ] あたりにも本作の影響を色濃く感じ取ることができるのではないでしょうか。

さらに、本作以降ソロとなったジョン・フォックスのアルバム『Metamatic』や『The Garden』『The Golden Section』『In Mysterious Ways』あたりが本作の延長線上であるのは当然のこと、ジョン・フォックスの抜けた第2期ウルトラヴォックスの『Vienna』『Rage in Eden』や、ヴィサージの『Visage』なども、本作で培った手法がベースになっていることは言うまでもありません。(ジョンのソロ2作目『The Garden』に「Systems Of Romance」というタイトルの曲が収録されていますが、本作の続編的な意味ではないようです。)

もし、まだ、本作を聴いたことがないという方は、ぜひ一度お聴きになって下さい。

上の私の文章の中に出て来たアルバムの中に好きなアルバムがあったという方なら、間違いなく買って損はしないニューウェイヴの金字塔的アルバムだと思います。


ちなみに、ジョン・フォックスは、現在もソロとして活動しており、『Cathedral Oceans』シリーズというかなりアンビエント寄りな作品を発表しています。

一方、ウルトラヴォックスの方は、通算9枚目となる86年の『U-Vox』を最後にミッジ・ユーロが脱退、以降はビリー・カーリーが中心となって存続するも、第2期ほどの人気を集めることができず、通算12枚目となる95年の『Future Picture』以降、実質解散状態となっています。

最近はこういった耽美的なヨーロピアン・エレクトリック・サウンドをウリにするアーチストが少なくなりましたが、個人的にはこの手のサウンドが最も大好物ですので、80年代のアーチストの作品を懐かしむだけではなく、新しいムーブメントとして復活してくれないかと切に願っております。

無理かなぁ…。


スポンサーサイト

Limahl/Never Ending Story

Never Ending StoryNever Ending Story
Limahl

ZYX 2006-11-21
売り上げランキング : 123492
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


みなさんは「レトロフェス [ Retrofest ] 」ってご存知ですか?

これ、80年代に活躍したアーチストが集うフェスティバル形式のイベントで、英国で数年前から行われているそうなんですが、当ブログでも何度か記事中でこのイベントのYouTube映像を紹介していますので、ご存知の方も多いと思います。

CD Journal.comのニュースによれば、今年夏のレトロフェスに出演するカジャグーグー [ Kajagoogoo ] にリマール [ Limahl ] が参加するそうで、久々に5人のオリジナル・メンバーが揃っての演奏を観ることができるようです。(なお、レトロフェス2008には、ボーイ・ジョージ、ポール・ヤング、ハワード・ジョーンズ、ミッジ・ユーロ、ブロウ・モンキーズなどの出演が予定されているそうですが、他の出演アーチストや詳細についてはCD Journal.comをご覧ください。)

前回、オリジナル・メンバーが5人揃ったのは、リマールが脱退してから20年目となる2004年のことで、アメリカのケーブルTVの企画によるたった一度だけの再結成ライヴでした。

残念ながら、以前「80's UK New Wave」の中で紹介した、Dailymotion(動画サイト)の再結成ライヴ映像はすでに削除されており、現在、ネット上で観ることはできませんが、最後のリマールの涙はちょっと感動しちゃいました(この映像が他で見れるところがあれば教えてくださると嬉しいです)。

結局、このライヴがらみのニュースにより、リマールとニック・ベッグス [ Nick Beggs ] の確執をさらけだすことになってしまったので、もう二度とオリジナル・メンバーでの演奏は聴くことができないと落胆していたのですが、いや~、嬉しいニュースです。

ちなみに、今年2月のスマ・ステーションという番組で、リマール自身が「昔のKajagoogooのオリジナルメンバーでLiveをする」とコメントしていたので、ご覧になった方もおられるかと思います。

SMA Stationでのリマールのコメント映像

最近の彼らの主な活動を紹介すると、カジャグーグーの方は、昨年6月にリマールとドラムのジェズ・ストロード [ Jez Strode ] 抜きの3人で再結成し、カジャグーグー名義とでは23年ぶりのシングルとなる「Rocket Boy」を発表、さらに、この3人にサポート・メンバーを加えて昨年のレトロフェスに出演しています。

Rocket Boy」の映像(プロモかな?)(ちなみにこれはニック自身の投稿です。)

リマールの方は、ソロ・シンガーとして懐メロ系イベントやTV番組に出演し、2006
年にオリジナルとしては13年ぶりとなるシングル「Tell Me Why」、続いて同年、本日紹介するアルバム『Never Ending Story』を発表。

「Tell Me Why」のPV

いずれも近年の80'sブームのあおりを受けてのことか、意欲的な活動が増えてきただけに、再結成を望む声が大きくなって来るのも当然の流れなのかも知れませんね。

日本でもぜひお願いしたいところです。


さて、今日紹介する『Never Ending Story』というアルバム、これが実に興味深い内容なんですよ。

一応、リマールのベスト盤に最新シングル「Tell Me Why」が収録されているという形にはなっているんですが、まず、この新曲以外は全曲フル・リ・レコーディング、つまり、演奏から歌まですべてが新しく録り直されています。

しかも、驚くなかれ、リマールのソロ名義の「Never Ending Story」「Too Much Trouble」「Only For The Love」や、リマール在籍時代のカジャグーグーの曲「Too Shy(邦題:君はToo Shy)」「Hang On Now」「Ooh to Be Ah」などに混じって、リマール脱退後のカジャグーグーのヒット曲「Big Apple」「Turn Your Back on Me」「Lions Mouth」「Shouldn't Do That」までもが収録されているんですよ。(注:「Only For Love」がなぜか本作では「Only For The Love」となっていますが同じ曲です。)

「Never Ending Story」のPV
「Too Much Trouble」のPV
「Only For Love」のPV
「Too Shy」のPV
「Hang On Now」のPV
「Ooh To Be Ah」のPV
「Big Apple」のPV
「Turn Your Back On Me」のPV(USバージョン)
「Lions Mouth」のPV
「Shouldn't Do That」のPV

原曲は、仲が悪いと言われていたニックが歌っており、リマールは一切からんでいない曲だというのに、その曲をリマールが自分名義のアルバムに自らが歌って収録しているんです。

これを「節操がないなぁ」「えげつないことするなぁ」「喧嘩売ってるんとちゃうか」とみる方もおられるかも知れませんが、見方を変えればニックに対するリマールからのラブコールとみることはできないでしょうか。

もし、そうだとすれば、このアルバムの発表が再結成のきっかけのひとつとなっているのかも知れません。

ま、個人的には、もし、2ndアルバム以降もリマールが歌っていたとするとこんな感じだったんだろうなと興味深く聴くことができました。

個人的にリマールの歌声が大好きで、ニックのこもった高い声が苦手だっただけに、この録音は実に嬉しく感じます。

いや、ニックが嫌いなわけではなく、ベーシストとしての彼のセンスとテクニックには惚れ込んでいます。
それだけに、オリジナル・メンバーでの再結成を望んでいたわけですから。
ただ、個人的にはニックの声が好みに合わなかっただけなんです(笑)。

残念ながら、アマゾンでは本作を試聴することができませんので、簡単に解説をさせていただきますと、新曲「Tell Me Why」以外の収録曲は、基本的にオリジナルに忠実に制作されています。

ただ、悪く言えば、リズムマシンやシンセの音がチープだったり、空間処理の奥行き感が足りなかったり、無理矢理なフェードアウトで終わっていたりと、多少、DTM(デスク・トップ・ミュージック)的なお手軽感を感じてしまいます。

また、演奏しているメンバーのクレジットがないため、誰が演奏しているかはわからないのですが、ベースはもちろんニックが弾いているわけではないでしょう。

しかし、昔のヒット曲を歌うシンガーにありがちな、メロディーをいじったり、”タメ”や”ひっぱり”を入れたりすることはほとんどないので、そういう意味での気持ち悪さはありません。

そして、何よりリマールの声がほとんど老けていないのが驚きです。
若干、高いキーが苦しそうに感じる部分もありますが、滑らかなメロディーの動きは以前より気持ちが良いくらいです。

そういう意味で非常に聴きやすい「リ・レコーディング・アルバム」です。

もちろん、初めてリマール、カジャグーグーをお聴きになる方には本作ではなく、オリジナル音源のベスト盤『The Very Best of Kajagoogoo』の方をおすすめしますが、当時カジャグーグーやリマールのファンだった方にとっては本作もかなり楽しめるアルバムなのではないでしょうか。


ところで、昨年のレトロフェスでのカジャグーグーは、ニックがリマールのボーカル・パートを兼任して「Too Shy」を演奏しましたが、今年はリマールが2nd以降の曲を歌ってくれることでしょう。

ニックのベース+リマールのボーカル、私にとっては、まさに待望のステージです。

☆昨年のレトロフェスでのカジャグーグーの映像
「Too Shy」のライヴ映像
「Big Apple」のライヴ映像
「Lions Mouth」のライヴ映像
「Turn Your Back On Me」のライヴ映像
「Shouldn't Do That」のライヴ映像

☆近年のリマールの映像
昨年のTV番組出演時の「Too Shy」の映像
一昨年の80'sフェスでの「Never Ending Story」のライヴ映像

また、今年6月にリマールとジェズ抜きのカジャグーグーとして発表する予定だった新譜も、リマールが参加の上発表されることになるようです。
恐らく、ジェズの参加も間違いないでしょう。

当然、発表は予定より遅れるでしょうが、ファンにとっては嬉しいニュースですよね。

ちなみに、ウィキによると、この再結成はレトロフェスの主催者Bradley Snellingがオリジナルメンバーでライヴに出演する様に働きかけた結果なんだそうで、現在、彼はカジャグーグーのマネージャー役を務めているのだとか。

さすがにライヴのためにスコットランドまで足を運ぶことはできませんが、できれば、SMA Stationでのリマールのコメント通り、日本でもライヴをお願いしたいところです。



日本各地のドームで80'sレトロフェスなんてのも良いかも知れませんよね(笑)。

とりあえず、その日が来るまで本作を聴きながら待つとしましょう。

いや~、夏以降のYouTubeと新譜が楽しみです。

Klaus Nomi/The Essential

Klaus Nomi - The EssentialKlaus Nomi - The Essential
Klaus Nomi

BMG International 2002-02-26
売り上げランキング : 90852
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



今日紹介するのは、異形のディーヴァとして知られるクラウス・ノミ [ Klaus Nomi ] の最も収録曲数の多いベスト盤『The Essential』、当ブログの趣旨からは少しずれてしまうのですが、ドイツ生まれのアーチストの作品です。

2005年にクラウス・ノミのドキュメンタリー映画『The Nomi Song(邦題:ノミ・ソング)』が公開されたので、ご覧になった方もおられるかと思うのですが、彼は、ルックス、サウンド、そしてパフォーマンス、とにかくどこを取り上げても非常にインパクトのあるアーチストでした。

私がノミを知ったのは、80年代初頭に電子楽器関係の音楽誌に載っていた石橋楽器店の広告ページ。
本作のジャケットそのままの格好で、まるで血の通っていない人形のようなポーズをとったノミが電子楽器の写真の周りにうようよ並んでいたのです。
ただでさえインパクトのあるルックスなのに、数ヶ月に渡ってこの広告にノミが登場したため、私の頭の中に彼のイメージが強烈に刷り込まれてしまいました(笑)。

その後、スネークマン・ショーの『急いで口で吸え!』にノミの曲「Cold Song」が収録されていたのを聴いたのがきっかけで音楽面でも興味を持ち、彼の1stアルバム『Klaus Nomi(邦題:オペラ・ロック)』を購入しました。

今聴くと、生楽器のシンプルなロック系アンサンブルにチープなアナログシンセが乗っかっているような、いかにも初期のニューウェイヴ的な演奏ですが、そんなバッキングにノミのオペラチックなボーカルが乗ると、SF映画に出てくる別の惑星の音楽のようなサウンドに聴こえてしまいます。

そういえば、リック・ベッソン監督のSF映画『フィフス・エレメント』に異星人のシンガーのオペラチックなコンサート風景がありましたが、私の頭の中ではズバリ、あんな感じのイメージなんですよ(笑)。
ひょっとすると、あのシーンはクラウス・ノミからヒントを得たのかも知れないですね。

ちなみに、彼の芸名「Nomi」はSF雑誌「Omni」のスペルを並べ替えたものという話がありますから、ノミ自身、SFは大好きだったはずです(笑)。


ところで、ノミの歌声は、オペラを真似ただけのオペラもどきではありません。

ノミは1944年、ドイツのバイエルン州に生まれ、幼い頃から声楽を学び、ベルリンの音楽学校でオペラ歌手としての教育を受けています。

恐らく、 ”ええとこのぼっちゃん” だったのでしょうね。
このままオペラ歌手としてデビューしていれば、イロモノ扱いを受けることなく真っ当なアーチストとしての道が開けたはずです(ま、これほど話題になることはなかったと思いますが…。)。

しかし、音楽学校卒業後の1972年、なぜかニューヨークに移住し、音楽活動の傍らパントマイムやマネキン・パフォーマンスの勉強をしているのです。

その後、ノミは、ニューヨークのライヴハウスに、奇抜なファッションとオペラチックな歌声、そして奇をてらった演劇的なパフォーマンスで出演するようになり、徐々にアンダーグランド・シーンで注目を集めるようになります。

そんな時、ノミの噂を聞きつけたデヴィッド・ボウイ [ David Bowie ] が、彼にコスチューム・デザインとライヴのバック・コーラスを依頼、サタデー・ナイト・ライヴに出演したことからさらに彼の名は有名になります。

残念ながら、昨年頭まではYouTubeにあったこの時の映像がなぜか削除されているためご覧いただくことができないのですが、下記のスライドショー的な映像と、映画『The Nomi Song』のトレーラー映像でほんの一瞬だけその時の映像を見ることができます。

「Homenagem a Klaus Nomi」の映像
「The Nomi Song」トレーラー映像

しかし、やはりゲテモノ的な扱いを受けていたのでしょう、アメリカではボウイ効果を持ってしてもレコード契約に至ることはなく、81年になってフランスのRCAと契約、ようやく1stアルバム『Klaus Nomi(邦題:オペラ・ロック)』の発表にこぎつけたのです。

Klaus NomiSimple Man

さらに翌年、2ndアルバム『Simple Man』を発表。
ところが、この時すでにノミの身体はエイズに蝕まれており、83年の夏、39歳という若さでこの世を去ってしまったのです。

ちなみに、著名人がエイズで死亡したのはクラウス・ノミが最初なんだそうで、まだ「エイズ=同性愛社の病気」的なイメージの強かったご時世ゆえ、死んでなお、差別的な扱いを受けることが多かったようです。

しかし、考えてみれば、クラウス・ノミって存在自体がニューウェイヴなんですよね。

ある意味でギャグ、ある意味でホラー、ある意味でクラシックなんですが、ルックスといい、サウンドといい、パフォーマンスといい、とにかく新しいことに挑戦していた唯一無二なアーチストですから…。

どちらかといえばマイナーな存在ですが、間違いなくニューウェイヴの元祖的なアーチストの一人と言うことができるでしょう。

残念ながら、オリジナル・アルバムとしては先述の『Klaus Nomi』と『Simple Man』の2枚を発表しただけでこの世を去ってしまったのですが、その後、数枚のベスト盤が発表されています。

本作『The Essntial』もそんなベスト盤の1枚ですが、とにかく収録曲数が最も多く、お値段も手頃ですのでおすすめです。


最後に、YouTubeで見つけたノミの映像を紹介がてら、本作の収録曲を紹介しておきますので、興味を持たれた方はご覧になってみてください。

この映像を見るだけでも、クラウス・ノミについていろんなことをご理解いただけると思いますよ。

ただ、曲によって曲調がコロコロ変わるので、一曲だけをご覧になってノミを判断せず、何曲かご覧になってみてください。

なお、いつものように、赤くなっている曲タイトルをクリックしていただくとYouTube映像をご覧いただけます。

1. Cold Song
2. Can't Help Falling in Love
3. Keys of Life
4. Lightning Strikes
5. The Twist
6. Nomi Song
7. You Don't Own Me
8. Wasting My Time
9. Total Eclipse
10. Samson and Delilah (Aria) [Live]
11. Der Nussbaum
12. From Beyond
13. After the Fall
14. Just One Look(リンダ・ロンシュタントのカバー)
15. Falling in Love Again(プレスリーのカバー)
16. ICUROK
17. Rubberband Lazer
18. Wayward Sisters
19. Ding-Dong(オズの魔法使いから)
20. Simple Man

余談ですが、ノミは、ニューヨークに渡ってからしばらくの間、ホテルのコックとしても働いていたそうで、料理の腕もかなりのものなんだとか。

中でも、お菓子作りが得意だったらしく、ケーブルテレビで取り上げられたこともあるそうです。

映画『The Nomi Song』のオフィシャル・サイトに、彼の有名な「ライム・タルト」のレシピが公開されていますので、興味をお持ちの方は実際に作ってみられてはいかがですか。


ADAM & THE ANTS/Kings of the Wild Frontier

Kings of the Wild FrontierKings of the Wild Frontier
Adam & The Ants

Sony/Columbia 1989-03-03
売り上げランキング : 139286
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


今日紹介するのは、アダム・アンド・ジ・アンツの [ Adam And The Ants ](1stの表記では ADAM & THE ANTZ)2ndアルバム『Kings of the Wild Frontier (邦題:アダムの王国)』です。

アダム・アンド・ジ・アンツは、マルコム・マクラレン [ Malcolm McLaren ] がセックス・ピストルズ [ Sex Pistols ] の後、そしてバウ・ワウ・ワウ [ Bow Wow Wow ] の前にプロデュースしたグループですが、もちろん、これらのグループと同じように、アルバムを音楽的にプロデュースしたわけではなく、対マスコミ戦略的にグループ自体をプロデュースしています。

ただ、他の2バンドと違うところは、バンド側(アダム)からマルコムにプロデュースを依頼したところです。

アダム・アンド・ジ・アンツは、ピストルズに刺激を受けたアダム・アント [ Adam Ant ] がパンクバンドとして1976年に結成。
デビュー前に、当時パンクの女王といわれたミス・ジョーダン [ Miss Jordan ] に認められ、デレク・ジャーマン [ Derek Jarman ] 監督の伝説的パンク映画(?)『ジュビリー [ Jubilee ] 』(1978年)に出演、この映画のサントラ・アルバム『Jubilee 』に彼らの曲も2曲収録されました。

これがきっかけとなり、同78年にデビューシングル「Young Parisians」を発表することとなったのですが、この頃はメンバーの入れ替わりが激しく、後にバウ・ワウ・ワウに引抜かれるマシュー・アッシュマン [ Matthew Ashman ] (G,P)とデイヴ・バルバロッサ [ Dave Barbarossa ] (D)、この後モノクローム・セットに参加するアンディ・ウォーレン [ Andy Warren ] (B)により録音されています。

続く79年には1stアルバム『Dirk Wears White Sox』の録音が行われ、シングル「Zerox」を発表、この直後にアダム自身がマルコム・マクラレンにバンドのプロデュースを依頼したのです。

「Zerox」のPV

しかし、アダムのワンマンなやり方が嫌だったのか、はたまたマルコムのやり方が気に食わなかったのか、マルコムのプロデュースが決まる頃にはアダム以外の元のメンバーはすべて脱退、代わりに、以降、解散後もアダムの右腕となるマルコ・ピローニ [ Marco Pirroni ] が参加することになりました。
マルコ・ピローニは元々ピストルズのシド・ヴィシャスの友人で、スージー&ザ・バンシーズ [ Siouxsie & The Banshees ] や、ザ・モデルズ [ The Models ] などにも参加したイタリア系の個性派ギタリスト。
おそらくはマルコムが彼を引っ張って来たのでしょう。

その後、マルコの広い人脈から元モデルズのメンツなどのメンバーを集め、シングル「Cartrouble」を発表、さらにメジャーレコード会社CBSに移籍し、1980年に2ndアルバムとなる本作『Kings of the Wild Frontier 』を完成させました。

「Cartrouble」のPV

なお、今日紹介している盤では黄色い枠がつき、当時のものと曲順が変わっているのですが、追加曲もあり、格安なのでその辺りは許してやって下さい。

音的には『Dirk Wears White Sox』から大きな変貌を遂げ、ディストーションの効いたパンク系のギターからマカロニ・ウエスタン調のギターに変わり、2人のドラマーによるアフリカンビートの上に低いトーンのコーラスや、妙なかけ声をのせ、独創的な海賊音楽(こんな海賊はいないはずですが…笑)を演じています。

さらに、ヴィジュアル面では、ピストルズやバウ・ワウ・ワウと同じく、当時マルコムの彼女であったヴィヴィアン・ウエストウッド [ Vivienne Westwood ] がスタイリングを担当し、マルコムの仕掛けた「デコラディブなパイレーツスタイル」に変貌をとげたのです。

今になって考えてみればイロモノ系とも取れるわけですが、ニューロマンティックという新しいムーブメントのおかげか、当時はお洒落な最先端のサウンドとファッションだったんですね。

これで売れなければ「キワモノ系一発屋」として名を残すことになったのでしょうが、そこはさすがマルコムのプロデュース。

本作からは「Kings Of The Wild Frontier」「Dog Eat Dog」「Ant Music」がシングルカットされ、いずれも全英チャート4位以内に入るというかなりの大ヒット、アルバム自体も12週もの間トップテン入りするという快挙を成し遂げました。

「Kings Of The Wild Frontier」のPV
TV番組での「Kings of the Wild Fronteir」のライヴ映像(口パク?)
「Dog Eat Dog」のPV
「Ant Music」のPV
TV番組での「Killer In The Home」のライヴ映像
初来日時の「Don't Be Square Be There」のライヴ映像

この後、アダムの経歴の中で最もヒットしたシングル「Stand and Deliver」が制作され、マルコムはお役御免となりますが、勢いづいた彼らは3rdアルバム『Prince Charming』でもなかなかの好成績を残すものの、後が続かなかったのか解散への道をたどることとなります。

「Stand and Deliver」のPV

もし、マルコムが引き続いてプロデュースをしていたとしたら、これ以降はどんな変貌を遂げていたのでしょう?

結局、マルコムのやり方は、確実に時代の寵児を生み出すことができる反面、一過性のもので長く続かないことが多いようです。
そういう意味ではトレヴァー・ホーン [ Torevor Horn ] がプロデュースしたグループとの共通点を見いだすことが出来ます。

しかし、この2人は、既存の音楽の枠を壊し、新しいムーブメントを作る技術という点では卓越したセンスを持っており、後の音楽シーンに与えた影響はかなりのものなのではないでしょうか。

まさに80年代を代表する名(迷?)プロデューサーです。

そんなマルコムがプロデュースした歴史的な遺跡「アダムの王国」を世界遺産感覚(笑)で訪れてみませんか。

新しい発見があるかも知れませんよ。

 | HOME | 

Design byLoco-net::blog 
Copyright © 80's New Wave Laboratory.All rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。